「ジャズを聴く」Night and Day(ナイトアンドデイ 邦題:夜も昼も) コール・ポーター 1932年作曲

 

【歌曲王 コール・ポーター(1891-1964)】
アメリカのミュージカル、映画音楽の作詞・作曲家。日本でも「歌曲王コール・ポーター」として知られています。祖父が富豪でコールを弁護士にしようと、ハーバード大学で法律を専攻させました。しかし音楽ばかりやっていたため転部し、アートを専攻することになります。1930年代にミュージカルで多くのヒットを飛ばし、「Love for Sale」「I Get a Kick Out of You」「Begin the Beguine」などジャズでカバーされている名曲を生み出しました。作詞・作曲両方を手がけた為、作曲家(コンポーザー)と言うよりは「ソングライター」という位置づけになります。


【夜も昼も】
1932年のコメディ・ミュージカル「Gay Divorce:邦題=陽気な離婚)」の1幕2場の海辺のホテルのシーンで出て来る楽曲。※注 Gay は当時はまだ「陽気な、快活な」といった意味合いが強く「Gay Music=陽気な音楽」の様に日常会話でも用いられていたそうです。

 

Night and day, you are the one

夜も昼も、あなただけ
Only you beneath the moon and under the sun

月の光、太陽の下でも、あなただけ
Whether near to me or far

近くにいても、遠くにいても
It's no matter darling where you are

どうでもよいさ
I think of you night and day

夜も昼も、あなただけ



【多様な録音の紹介】

Layton & Johnstone「night and day」Columbia FB 1218 1933年録音SP盤リマスター
レイトン&ジョンストン、アメリカにおける黒人デュオの初期レコーディング。ラグタイム風のピアノがジャズの黎明期を彷彿とさせます。

 

チャーリー・パーカー「The Complete Verve Master Takes」録音50-52年デジタルリマスター
モダンジャズの黎明期「ビ・バップ」を牽引したアルト奏者、チャーリー・パーカーの演奏。最盛期である40年代後半からは時期が経っていますが、スゥイングスタイルのビッグバンドを従えて素晴らしいソロを演奏しています。55年没(享年35歳)

 

Sergio Mendes & Brasil ’66「EQUINOX」録音1967年デジタルリマスター
ポップなラテン音楽を軸にイージーリスニングと呼ばれるジャンルの音楽を演奏したセルジオ・メンデス。日本でも大変人気でした。録音のミキシング方法が独特で、ドラムが完全に左側だけだったり、音量のダイナミクスを付けたり、かなり作り込んでいる事が分かります。

 

ジョー・パス「For Django」1978年LP
ギタリスト、ジョー・パスがジャンゴ・ラインハルト(ジプシースタイルのジャズギタリスト)にトリビュートしたアルバムです。ギターが2人(バッキングはジョン・ピサノ)だったり、かなり高速なテンポ、などジプシースタイルが現れています。曲の最後は、循環コード(ターンラウンド)で盛り上がり意外なエンディングを迎えます。

 

LEE KONITZ & RED MITCHELL「I CONCENTRATE ON YOU」1975年LP
クールジャズ派のサックス奏者、リー・コニッツとベーシスト、レッド・ミッチェルのデュオで、全曲コール・ポーター作品のトリビュートアルバムです。レッド・ミッチェルはこの曲ではピアノを弾いています。デンマーク、コペンハーゲンのスタジオでの録音状態も大変素晴らしく、すぐ近くで演奏しているようなアルトのサウンドを堪能出来ます。

 

Stan Getz & Bill Evans「Stan Getz & Bill Evans」1964年録音デジタルリマスター
同じクールジャズ派のアルト奏者、スタン・ゲッツがピアニスト、ビル・エバンスと吹き込んだ作品です。リズムパターンの展開(ラテン、スゥイング、ブレイクなど)、ハーモニーの再構築(リハーモナイズ)、などコンテンポラリーな要素が見られます。

 

Art Tatum & Roy Eldridge「The Tatum Group Masterpieces」1955年LP
視覚障害を持ちながらビ・バップ期を牽引したピアニスト、アート・テイタムと、スウィング時代に活躍したトランぺッター、ロイ・エルドリッジによる演奏です。空間を埋める高速フレーズのピアノスタイルと、シンプルなブルース音階を基にした歌う様なトランペットが、面白いコントラスト(静と動、伝統と革新のような)を醸し出しています。ピアノは伴奏中でも弾きまくりなのが面白い!

 

Bill Evans Trio「Bill Evans Trio with Lee Konitz & Warne Marsh」1977年LP
ビル・エバンスのピアノトリオに、アルト(左):リー・コニッツ、テナー(右):ウォーン・マーシュが加わった作品。冒頭の2管による対位法的な演奏が面白い。上のスタンゲッツとのアルバムのように、リズミックなアイデアが豊富です。